ベトナム編

2015.01.01

バイク天国のホーチミンは レインウェアが百花繚乱

 近年、ベトナムは生産拠点としてだけでなく、 消費地としても注目が集まる。1人当たりGDP (所得水準)は3000ドルを超すと家電製品な ど耐久消費財の売行きが加速するとされるが、 ホーチミン市は2013年に4000ドルを突破 し、今後ますます伸びそうだ。期待感から2011 年以降に米国系飲食チェーンや日系コンビニ が続々と進出し、2014年1月にはホーチミン市 郊外にイオンモール1号店、11月には2号店が 開業。2015年までに3号店の設立を計画し、 同年には髙島屋も開店する予定だ。
 では、内需の拡大が見込めるベトナムの傘事 情はどうか。ベトナムは11~4月が乾季、5~ 10月が雨季であり、雨季はスコールが頻繁に 降り、東京よりも降水量は多くなる。「けれども、 傘を差す習慣はない。雨宿りしてやり過ごせば すぐにやむし、そもそも歩いて移動することが あまりないから」と、ベトナム情報センターのス タッフは話す。
 実は主な移動手段はスクーターなどオート バイだ。雨が降れば皆一様にレインコートやポ ンチョをかぶって疾走する。そのため、雨降りす さぶホーチミンは多彩なレインウェアで埋め尽 くされる。
 街中にはレインウェア専門店もあり、ベトナ ム情報誌「ベトナムスケッチ」によると、約 4000種類のレインウェアを扱う店もあるそうだ。ポンチョ型が多く、最近は素早く着用でき る前空きファスナー・ボタンタイプや雨中でも 視認性が高いカラフルな柄物が人気。ポリ塩化 ビニルなど耐久性の高い素材が売れ筋という。 バイクに乗る際に親が子どもと一緒に被れる 親子用タイプや、カップルや夫婦で2人乗りす るときに便利な2人用レインウェアなど種類も 様々。日本円で400~600円が相場のようだ。
 ベトナムは晴れの日の日差しも厳しい。現地 の女性の間では「肌が白いことが美人の条件」 とされ、日焼けを嫌う。つばの広い帽子をかぶ り、サングラスをかけ、目の下からあごまでカ バーできるマスクと手袋を着用するのが、定番 の対策だ。
 競合が多く、単価がまだ安いという課題はあ るが、今後所得の向上が見込めるベトナムで機 能性が高い日本製のレインウェアが参入する 余地はあるかもしれない。2020年には地下鉄 の開通が計画されており、公共交通+徒歩によ る移動が浸透すれば、雨傘、日傘の利用も広が るのではないか。特に日焼けに敏感な女性の日 傘需要は期待できそうだ。


ホーチミン市内に ある合羽専門店「ホ アンギア」。約4000 種類のレインウェア を取り扱う。 (写真提供/Sketch Co., Ltd.)

ページトップへ

  • 街角傘美人
  • アンブレラマスター紹介
  • アンブレラ・マスターがいるお店