香港編 特別現地レポート

2009.01.01

男女ともに愛用傘はとにかく“巨大”!風車の国ならではのアイデア傘も登場


傘事情を語る前に、初めに香港という街の最新事情を知っておきたい。まずは超高層ビル群についてである。ここからは現地に足を運んだライターT氏の説明を聞きたい。

 「もう、狭いエリアに鉛筆のような細長いビルが密集しているんですよ。まるで竹林です。それは昔に映画で見た未来都市の姿そのものですね。ニューヨークの摩天楼も圧巻ですけど、香港も負けていない。もうこれ以上は建たないのではと思うんですが、これがまだ建つそうです。2010年には世界で6番目に高い 118階建てのオフィスビルができると聞いています」。

 そして、そこで生活する香港人の気質は、とにかくスピード重視だ。世界的にもスピード化はキーワードだが、その最も顕著な実践者が香港人といえる。再びT氏の証言だ。
 「香港人は時間を無駄にするのが嫌いなようで、タクシーに乗ったとき、渋滞に巻き込まれると、運転手は舌打ちを繰り返してものすごくイライラする。また、街のインフラにもその気質が見え隠れします。例えば、地下鉄のエスカレーター。これが異常に速いんですよ。日本の3倍はある。お年寄りは絶対に乗れないと思う。そして、歩くのも速いです。東京も人の流れが速いけど、それをしのぐスピードですね」。
 そんな何もかもが目まぐるしい香港の傘事情はどうか。香港は亜熱帯気候に属し、雨は土砂降りになることが多い。従って、現地人にとって雨の日の移動では傘が必需品のはずである。だが、T氏は意外なことを口にする。
 「朝から大雨になった日に街を歩いたのですが、傘を差す人は少数派でしたよ。大まかに見たところ、全体の3割くらい。残りは傘を持っていない」。
香港では、屋根付の高架歩道が縦横無尽に張り巡らされ、ビルとビルの間を結んでいる(写真A)。従ってある程度は雨露をしのいで移動できる。しかし、限界はある。そこで、香港人はどうするのか。欧米人のように気にせずびしょ濡れになって歩くのか。
「これも意外だったんですが、あれほど時間を大切にする香港人が、なんと店や駅などの軒下で雨宿りしていた。いつ止むともわからない雨空を見上げてね。そこだけは時間が止まったようだった」(写真B)。
一方、傘を使っている人たちも、ブランド物は見られず、無地の地味なタイプがほとんど。銀行や小売店のロゴの入った「企業広告傘」も少なからず見られたという(写真C)。
T氏はそうした現状を踏まえ、話を展開する。「香港人はスピードとともにコンパクトなものが好きです。例えば普及している携帯電話は日本で普及しているものより明らかに小型のタイプが人気。また、日本への憧れも強い。主に若い女性ですが、日本のファッション雑誌が広く読まれ、紹介されている服装などを真似る人が多いです。こうした香港人の気質を考えて市場を開拓することも1つの手ではないでしょうか」。
今後ますます発展が予想される香港。傘の市場が広がる可能性は小さくないのかもしれない。

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