韓国編

2003.10.10

実用志向の韓国人は「折り畳み傘」がお好き


日韓W杯共催以来、すっかり親密さの増した日本と韓国。日本からの観光客は97年が約168万人だったのに対し、昨年は約232万人。この5年間で4割も増えた。「近くて遠い国」、その距離は、心理的にも統計の面からも急激に縮まっている。

そんな韓国の傘事情は日本とよく似ている。日本同様、6月〜7月にかけて梅雨の時期を迎え、そうした時期には毎日のように百花繚乱、色とりどりの傘の花が咲く。梅雨は韓国語で「長霖(チャンマ)」。「霖」一字でも「長い雨」という意味なので、韓国人にとっては、「延々と降り続く雨」といった印象で、傘はまさに必需品。欧米などでは雨が降っても傘をあまり差さない国が多いが、お隣さんは別で、「日本の光景と変わらない」と在日韓国大使館の職員も答える。

ただし、やはり土地が変われば相違点もあるもの。韓国観光公社東京支社の職員は、「ほとんどの人は折り畳み傘を使う。しかもワンタッチで開閉できるタイプ」と、日本人との違いを指摘する。確かに日本では長傘の方をよく見かけるが、韓国では全く逆だと言うのだ。
さらに現地の詳細な情報を求めていると、世界各都市との交流を進める自治体国際化協会のソウル事務所に派遣されていたK氏とコンタクトが取れた。K氏は埼玉県庁からの出向で現地に長期間駐在。韓国のここ数年の傘事情にも詳しい。
そのK氏いわく、「確かにデパートの傘売場は折り畳み傘で占領されている。最近、若干長傘が増えてはいるが、それでも8割以上は折り畳み式」。ワンタッチ開閉タイプについても、「韓国ではよく目にするタイプ。とにかく折り畳み式の機能は進んでいる」と現状を語る。K氏が知りあいの韓国人に折り畳み式を使う理由を尋ねると「とにかく便利だから」とのこと。
「日本人は折り畳むのは面倒だし、手は濡れるし、傘立てにも置けないから不便だと考える向きが多いと思うが、韓国人はカバンに入れて携帯できる便利さを優先しているようだ」とK氏は分析する。建物の入口に雨の日に設置される傘用ビニール袋も、長傘用と折り畳み傘用の2バージョンが用意されるなど、韓国ならではの珍しい光景にも遭遇したそうだ。
今後、ますます交流が進み、双方の文化や習慣を見習っていく両国。しかし、長年使い慣れた傘のタイプだけは、当分「我」を通しそうだ。  

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