中国編Part2

2016.06.01

人気は「簡単開閉」と「派手柄」

 中国では、売れ筋の傘のタイプが明確だ。例えば折りたたみ傘では、開閉時に骨と骨のつなぎ目部分を「パキ、パキ」と手で留めたり、折ったりする必要がない、トップレス式の製品が人気。日本では「クイックオープン」「クイックアーチ」と呼ばれるタイプで、長傘のように楽に開閉でき、たたみやすいのが好まれる。「中国の人たちは面倒なことが嫌いなので、大半がこのタイプ」と、上海に4年駐在した経験を持つ、洋傘業界の関係者は話す。
 色柄もわかりやすい好みがある。「中国の女性は濃いピンク、赤、紫、ラメ入りなど、とにかく派手好き。特に北京など北に行くほどその傾向が強い」と指摘する。ベージュやネイビー、無地、地模様、落ち着いたチェック柄など、ベーシックな色柄が人気の日本とは逆の傾向だ。一方で、洗練されたファッションの女性が多い上海では、日本と似てベーシックな色柄が好きな人も一定数いると言う。こうした中国人の嗜好性は、インバウンド対策や中国向けEC(ネット通販)で参考になる。
 中国の洋傘メーカーは多数に上るが、最大手は「天堂傘」(英名:パラダイス)。中国人好みの派手な傘を作るのが得意で、「品質も高い」と、前出の関係者は認める。主な定価は200~350元。大卒の初任給が3000元と言われる上海では、高級傘の部類だが、何とか手が出せる値段だ。一方、日本のメーカーの傘は安くても500元。輸入品の高級傘で関税がかかるものは1000元を超える。高級百貨店の店頭に並び、購入できるのは基本的に富裕層だ。
 上海の街中では、雨が降るとどこからともなく現れる「傘売り」もいる。粗悪品ながら10~20元と格安のため、これで間に合わせる人も多い。
 経済成長が続き、所得が増えてきた中国だが、日本のメーカーにとってはまだ価格面がネック。富裕層マーケティングを行う一方で、現地生産による値ごろ感ある製品をいかにして作っていくかが鍵となりそうだ。
 

ページトップへ

  • 街角傘美人
  • アンブレラマスター紹介
  • アンブレラ・マスターがいるお店