デザイン編

2012.02.28
おしえて!傘のギモン「デザイン編」

Q:傘のデザインってさまざま。どうやって考えるのかな。
A:著名なブランド(ライセンサー)と、洋傘メーカーが契約を結び生産し、百貨店などで販売する「ライセンスブランド」を例に取ろう。2013年春夏商品であれば、前年の今頃(2012年3月)がスタートライン。この頃を境に、各ライセンサーから2013年春夏コレクションで打ち出すイメージなどの資料が、洋傘メーカーのデザイナーに伝わり始める。デザイナーはそのイメージと今のトレンドを材料に、柄や形などアイテムのバリエーションを考えるんだ。

Q:店頭に並ぶ1年も前から始めるんだね。
A:同じ頃に2012年春夏用の傘の販売も始まり、どんな素材や形、柄の売行きが良いかもわかってくるので、それも参考にアイテムを絞り込んでいく。それで早ければ4月以降にライセンサーに対し「来季はこれらの新商品を考えている」と、最初の提案を投げる。そこから、デザイナーとライセンサーがやり取りし、細かく修正していくんだ。

Q:いつ頃デザインは決まるの?
A:個々のブランドによるが、早いもので5月の半ば。そこから生地制作に入り、実際に骨と手元を付けたサンプルを作って、またライセンサーに送る。ただ、傘の丸いフォルムに柄を載せると平面のデザイン画と印象が変わり、再度修正を依頼されることもある。一方、ブランドによっては、9月の春夏コレクションが終ってからようやく資料が出てきて、そこから制作に入るケースもある。なかなか一筋縄では行かないんだ。

Q:今までのヒット作にはどんなものがあるの?
A:これはオーロラの例だが、約20年前のバブル期に、バードゲージ型の傘(鳥かご風に生地を極端に深く張ったもの)を出した。バードゲージ型は差すと裾がほぼ一直線になるが、その各小間の裾にハイレグを思わせるような大胆な刳りを入れて、アーチカット(ハイレグカット)にデザインした。すると、当時のワンレン・ボディコン層だけでなく、さまざまな女性の心を掴み、5~6年にわたりロングヒットしたんだ。

Q:最近では何かある?
A:数年前、ある若い女性向けのブランドで新たにパラソルをデビューさせたときに、素材にチタン遮光の生地を使った例かな。当時まだ遮光生地は厚く、若い女性に受けないのではという意見もあった。でも、ブランド・プロデューサーの「遮光を若い女性にも提案したい」という強い意向で、全てのパラソルで遮光生地を採用したところ、大ブレイクした。それをきっかけに本格的な遮光傘ブームが始まったともいえるんだ。

Q:柄やフォルムだけでなく、機能にも配慮してデザインを考えるのは大変だね。
A:確かに傘は雨や日射しを遮る機能が優先されるので、デザイン上は多くの制約を受ける。でも、機能とデザインをはじめ、生地・骨・手元の素材、全体のスタイルなど、さまざまな要素のバランスを考えて形にするのが、傘のデザイナーの醍醐味でもある。今後も大ヒットするようなデザインが出てくるのが楽しみだね。

(取材協力:オーロラ)

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