手元編 Part2

2012.01.01


Q:前回で手元の概要はわかった。ところで、最高級の手元ってどんなもの?
A:一番は、純銀で作った彫金のハンドルかな。銀細工の職人が作ったもので、ハンドルだけで10万円以上!

Q:一般的に売っているものでは?
A:自然木の寒竹で作った手元だろうね。特に日本の山から切り出した寒竹を、昔ながらの職人が丁寧に作ったものだよ。竹の節を一個一個温めて曲げていく。だから節の断面が真ん丸のままで、見た目も美しい。数万円の傘に付けるようなまさに最高級品だ。でも、寒竹を切り出すのは非常に手間だし、昔の方法で作る職人も非常に少なくなっている。

Q:話は変わるけど、手元を取り扱う上での注意点を教えて。
A:まず、日焼け止めなどのクリーム類の付いた手で触らないことだ。一般的に手元の塗装では、塗料にシンナーを混ぜて溶かす。塗料を柔らかくして、塗装しやすくするためだ。そのシンナーは成分にアルコールを含むけど、クリームも同じようにアルコールを含むことがネック。つまり、一度固まった塗装がクリームのアルコールに反応して、溶けてしまうんだ。これが色落ちの原因だね。

Q:最近よく聞く話だけど、背景は?
A:女性のUVカット志向が強まったことが一因。顔や腕にUVクリームを塗ったその手で手元を持ってしまう。

Q:塗装で防ぐ方法はないのかな。
A:塗料1液でなく、塗料に硬化剤を混ぜて2液にする。硬化剤が入ると、固まれば溶けなくなるので、クリームの付いた手で触っても大丈夫だ。でも、2液にするとコストが高くつくから、高級傘のみで使われているのが現状だね。いずれにせよ、よく手を洗ったり、拭いたりすることがポイントだ。

Q:ほかに気を付けることは?
A:手元は長期間湿度の高い環境にあると、塗料が加水分解を起こし、色が悪くなる。だからしっかり拭いて、保管時は高湿な場所には置かないこと。後は高温も苦手。手元の形に曲げたアクリルや木が真っ直ぐに戻ってしまう可能性もある。特に夏場の車のトランクは高温高湿になるので、避けてほしいね。

(取材協力:福島化成工業)

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