ノルウェー編

2011.10.01

本降りでようやく開く実用傘


国王が国の象徴で国民から尊敬を集め、漁業が盛んな捕鯨国であり、面積は約38.5万平方キロ。ノルウェーの特徴は日本(面積約37.8万平方キロ)と似通う部分が多い。一方、世界一税金が高い超福祉国家、世界で最も男女平等の国、北海油田の原油輸出で財政が潤い、フィヨルドやオーロラなど観光資源に恵まれているなどの、特性もある。ノーベル平和賞受賞者はノルウェー議会が決めることも有名だろう。
さて、降雨量はところにより異なる。南部の内陸にある首都オスロは年間約800ミリで、東京の半分くらい。10月は一日中しとしと降る秋雨となり、やや雨量が多くなるが、それ以外は一年を通してほぼ満遍なく降る。それに対し、大西洋に面したフィヨルド地帯は年間を通して非常に多雨だ。ノルウェー第2の都市ベルゲンは年間1800ミリを超え、年がら年中降り、「雨の街」とも呼ばれる。
自然が豊かでアウトドアの遊びが大好きなノルウェー人は、防寒・防水のジャケットを当たり前のように持っている。雨の日はそれを着てフードをかぶって歩く。これがパターンの1つだ。そしてもう1つのパターンが、傘を使うこと。「でも、日本人と違うのは、小降りでは持っていても差さないこと。本降りになり、これはずぶ濡れになるという段階で、ようやく開く」と、ノルウェー大使館職員は話す。
今年6月、オスロでの記録的な豪雨では、さすがに市民も傘を差した。黒、黒、たまに水玉や赤、でもまた黒、黒。男女を問わずやたらに黒の傘が多い。色とりどりの傘が開く日本とはかなり温度差がある。「ノルウェー人は、傘については実用本位。デザインを気にしたり、洋服に合わせたりする感覚はあまりないかもしれない」(同職員)。
ただし、稀にブラウン地に花一輪が描かれた傘を差す洒落者も見かける。そんな傘へのファッション・リテラシーが、広く伝染することを期待したいものだ。

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